温泉(おんせん)とは、地中から湯が湧き出す現象や湯となっている状態、またはその場所を示す用語です。その湯を用いた入浴施設も一般に温泉と呼ばれます。
熱源で分類すると火山の地下のマグマを熱源とする火山性温泉と、火山とは無関係の非火山性温泉に分けられます。 含まれる成分により、さまざまな色、匂い、効能の温泉があります。
広義の温泉(法的に定義される温泉)日本の温泉法の定義では、必ずしも水の温度が高くなくても、普通の水とは異なる天然の特殊な水(鉱水)やガスが湧出する場合に温泉とされます。
温泉が本物か否かといわれるのは、温泉法の定義にあてはまる「法的な温泉」であるのかどうかを議論する場合が一般的です。(イメージに合う合わないの議論でも用いられる場合があります)。
温泉法とは、(おんせんほう;公布:昭和23年7月10日法律125号、最終改正:平成13年6月27日法律第72号)は、温泉の保護等を定めた法律です。
地熱で温められた地下水が自然に湧出するものと、ボーリングによって人工的に湧出あるいは揚湯されるもの(たとえ造成温泉でも)どちらも、温泉法に合致すれば温泉です。温泉を熱源で分類すると、火山の地下のマグマを熱源とする火山性温泉と、火山とは無関係の非火山性温泉に分けられます。
非火山性温泉はさらに、地下深くほど温度が高くなる地温勾配に従って高温となったいわゆる深層熱水と、熱源不明のものに分けられる。また特殊な例として、古代に堆積した植物が亜炭に変化する際の熱によって温泉となったモール泉が北海道の十勝川温泉に存在します。
火山性温泉は当然ながら火山の近くにあり、火山ガス起源の成分を含んでいます。深層熱水は平野や盆地の地下深部にあってボーリングによって取り出されることが多く、海水起源の塩分や有機物を含むことがあります。非火山性温泉の中には通常の地温勾配では説明できない高温のものがあり(有馬温泉・湯の峰温泉・松之山温泉など)、その熱や成分の起源についていくつかの説が提案されているが、いずれも仮説の段階です。
日本は火山が多いために火山性の温泉が多く、温泉地にまつわる伝説・神話の類も非常に多いです。
また、発見の古い温泉ではその利用の歴史もかなり古くから文献に残されています。
文献としては、日本書紀・続日本紀・万葉集・拾遺和歌集・などに禊ぎの神事や天皇の温泉行幸などで使用されたとして、玉造温泉、有馬温泉、道後温泉、白浜温泉、秋保温泉などの名が残されています。平安時代の延喜式神名帳には、温泉の神を祀る温泉神社等の社名が数社記載されています。
江戸時代になると貝原益軒、後藤艮山、宇田川榕庵らにより温泉療法に関する著書や温泉図鑑といった案内図が刊行されるなどして、温泉は一般庶民にも親しまれるようになりました。
この時代は一般庶民が入浴する雑湯と幕吏、代官、藩主が入浴する殿様湯、かぎ湯が区別され、それぞれ「町人湯」「さむらい湯」などと呼ばれていました。各藩では湯役所を作り、湯奉行、湯別当などを置き、湯税を司いました。
一般庶民の風習としては正月の湯、寒湯治、花湯治、秋湯治など季節湯治を主とし、比較的決まった温泉地に毎年赴き、疲労回復と健康促進を図った。また、現代も残る「湯治風俗」が生まれたのも江戸時代で、砂湯・打たせ湯、蒸し湯、合わせ湯など、いずれもそれぞれの温泉の特性を生かした湯治風俗が生まれました。
明治時代になると温泉の科学的研究も次第に盛んになり、昭和以降には温泉医学及び分析化学の進歩によって温泉のもつ医療効果が実証され、温泉の利用者も広範囲に渡りました。
Last update:2023/9/25